その路を行けば
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縁、そして円 縁、そして円

其の参

『暑さ寒さも彼岸まで』なんて言うけど、9月も終わりだというのに暑い日が続いている。
昨日は仕事が早く終わり、そのまま仕事仲間と久しぶりにボーリングを楽しんだ。
久しぶりという事もあり、盛り上がって3ゲームもしたせいか今日は筋肉痛がヒドイ。
今朝、彼に昨夜の出来事をメールすると、いつも返信が遅いのに今日は5分もしないうちに返事があった。
『オレも行きたかった。次回は絶対誘ってくれ、絶対に。』と。…そんなにボーリング好きだっけ?

今日は『犬山城』に行く。
…各務原のマンション見学のついでに。
マンションの場所を調べると『犬山城』に近いと分かり、
ついでに寄ってみようとネットで検索すると
『城下町の食べ歩き』がヒットした。
…何?この楽しげな場所…これは行かないと。
そんな訳で『犬山城』へと出かけた。
駐車場に車を止め、城下町に向かうと早速『田楽』を発見、
お味噌大好きな私は我慢できずに田楽を買う。

日陰のベンチに座ると、通りの向こうに人力車。
暑いし面白そうなので、お願いして城下町を一周する事にした。
話しやすい人だと思ったら『お笑い芸人』なんだとか…。
もしかしてこの人も結婚式は紋付袴じゃないとイヤダとか言うのかな?
…なんかそんな気がする、タキシードは似合わなそうだし。

『あの、もし結婚式で、場所は教会なんですけど、花嫁はウェディングドレス、花婿は紋付袴ってアリですか?』
と聞いてみると『え?…教会で紋付袴って…大丈夫なんですか?その…神様は。
…そっか、神様が違う…ん?コレいけるんじゃない?ナーイス!!!いい説得材料を教えてもらった。
希望が見えてすっかりテンションが上がると、なぜかお腹が空いた。
お団子に串焼き、ソフトクリームを食べて、平日なのにけっこう賑わう城下町を満喫し、目的のマンション見学に向かった。

…なるほど、神様が違うか…コレはいける気がする。ヨシっ!!マンション見たら早速電話しよっ!!!

岐阜県各務原市の『第三長縄ハイツ』線路沿いに建つ物件。
2階と3階の部屋を見せてもらった。

線路沿いといっても玄関側。
部屋の前に着くと、ちょうど電車が来た。
こんなに間近で上から電車を見たのは初めて。
お部屋の中は、キッチンに貼られた
水色のタイルがカワイイ。

それに和室はポイント高いかな…彼には。
ここもアリだなと物件を後にした。

彼に電話する。『各務原のお部屋ね、けっこう良かったよ。和室もあるし』
『ふーん、そこにするのか?』『それはじっくり考える。…あのね、結婚式の事だけど、私はいいと思うんだよね、紋付袴』
『だろ?そうか、やっと分かってくれたか』『ただね、教会と神社って神様が違うよね?』『そりゃあそうだよ』
『いいのかな?教会で紋付袴って』『…』『神社でウェディングドレス着て式を挙げるのと同じ事だよね?』『…』
『ね、どう思う?』『…いかん』『え?』『そりゃあマズいだろ…そうか…そうだよな…』お!!コレはもしかして…
『じゃあ着る?タキシード』『…止むを得ん』やったーっ!!大成功!!!

と、割とあっけなく納得してくれた。めでたし、めでたし。ありがとう犬山城。…あ!、『犬山城』に寄るの忘れた。

やっと心置きなくウェディングドレスを選べると思うと嬉しくなってくる。
  帰りに栄に寄りドレスを見た。式が終われば新婚生活か…ん~楽しみ。結婚したら早く子供ほしいな。
と、そこへ彼から電話。『今日な、雲がないから月見に行かないか?』『お月見?いいね、行く!!』と彼と合流し、
月が綺麗に見えるという場所へ向かう。

道中『ね、子供は早くほしいよね』『ん?そうだな…でも授かりもんって言うし、別に急がなくても』
ん?何?その反応…欲しくないの?『それよりさ、お月見って言えば団子だろ?どっかに売ってないかな?』
…それよりって何?少しムッとして『コンビニ行けば売ってるんじゃない』と言うと
『は?今日は明治創業とか老舗だろ?お月見だぞ』と彼も応戦してくる。『……』黙ると少し気まずい空気になってしまった。

-そのまま目的地に到着。

『おーっ!!、今日はやっぱり綺麗にみえるな!!!』何も無かったように月を見て喜ぶ彼に続いて車を降りると、夜空の月は…
今夜の月は感動するほど神秘的な輝きを放っている。『大きい…大きいね』『そうだな』『本当に大きくなってるのかな?』
『月と地球の距離は変わらないから大きくはならないだろうな…でも、目の錯覚とか光が屈折して
大きく見えるとかイロイロ言われてるけど、今夜の月は大きくて綺麗。それでいいんじゃないか?
何?かっこいい事言っちゃって…ちょっと感動しちゃった。『そっか、そうだね……ねー、なんか最近ウンチクっぽいのに
凝ってたりする?』『イヤ、そうゆう訳じゃなくて』『何?』『…別に』『ふーん…あのさ、また来ようね、お月見』
『…いつか子供に聞かれたら、どんな事でもちゃんと答えてやりたいと思って、その…いろいろ調べてんだ』
え?そうなの?…なんだ子供の事考えてたんだ…ちゃんと言ってくれればいいのに。…でも、想いが一緒っていいよね。
少しテンションが上がって彼の腕にしがみつく。すると『暑い』何て言うけど『うるさい』と言って離さなかった。

ウェディングドレスもタキシードも決まった。ちなみに彼が着るタキシードは丈が短めでセミっぽくならないのを私が選んだ。
今日は二人っきりで食事。最近はいろんな準備でバタバタしてゆっくり話してなかった…。
食事も終わり、満足顔でくつろぐ彼に話しかける。『そういえば仕事の事、あんまり聞いてないけど陶芸って何で始めたの?』
『まあるいものが好きなんだ』『え?』『陶芸はロクロを回していると、どんどん円になっていくだろ?だから好きなんだ。
食べ物は目玉焼きとミートボール。ボーリングの球もまん丸なお月さんも好きだし、丸顔のお前の顔も好きなんだ』
『え?…ちょっと!!失礼!!!』『…何で?』『…人の顔の事言えないでしょ、岩みたいな顔して』『…なんですと?』

明日は結婚式なのに…。